魚の腹を裂かずに口やエラから内臓だけを抜き取る技法を、和食の調理用語で「壺抜き(つぼぬき)」と呼びます。本来はイカやタイなどでも用いられる専門技術ですが、秋刀魚の内臓取り方に割り箸を活用することで、専門的な包丁技術を持たない家庭のキッチンでも1尾あたり約15〜20秒で完遂できます。
用意する道具は「一般的な木製・竹製の割り箸1膳(割った状態の2本)」と、汚れを防ぐためのキッチンペーパーのみです。まな板を血や内臓で汚さず、ゴミ箱の上で直接作業できるため、後片付けの手間も劇的に削減されます。
【プロ直伝:サンマ壺抜きの具体的な4ステップ】
ステップ1:口とエラの観察
サンマを流水で軽く洗い、表面のぬめりを拭き取ります。サンマの頭を左、背を手前に置き、エラぶたを持ち上げます。
ステップ2:割り箸を左右のエラから差し込む
割った割り箸の1本を右側のエラぶたから差し込み、エラと内臓を挟み込むように深く入れます。もう1本の割り箸も左側のエラぶたから同様に差し込みます。この時、2本の割り箸でエラと消化管の根元を内側からしっかり挟み込む角度を意識するのが最大のポイントです。
ステップ3:割り箸を握り、2〜3回転ねじる
2本の箸先をサンマの腹腔内でクロスさせないよう平行に保ち、魚の胴体を片手で優しく押さえながら、両方の割り箸を同じ方向に「クルクル」と2〜3回回転させます。これにより、エラの結合部と内臓の基部が綺麗に巻き取られ、背骨側の結合膜から剥離します。
ステップ4:垂直にゆっくり引き抜く
ねじったテンションを保ったまま、割り箸をエラ側へ向かってゆっくりと引き抜きます。割り箸の先端にエラと一本につながった内臓が巻き付き、お腹を一切傷つけることなく「スルッ」と外に出てきます。最後に尾の近くにある肛門付近に少し残骸が残っている場合は、指先で腹を撫でるように軽く押すだけで完全に排出されます。
この秋刀魚の下処理を包丁なしで行う技法をマスターすれば、皮がピンと張った美しい姿焼きを作ることが可能になります。身崩れを防ぐだけでなく、魚体内部に旨味成分を含んだ脂を閉じ込める理想的な下ごしらえです。