食生活の欧米化や慢性的なストレスを背景に罹患者が増加傾向にある逆流性食道炎や慢性胃炎。こうした疾患を抱えている場合、納豆の摂取には特別な配慮が求められます。
納豆を特徴づける「納豆菌」は、耐熱性・耐酸性に極めて優れた芽胞を形成し、強烈な胃酸を浴びても死滅せずに生きて腸まで到達する性質を持っています。腸内環境の改善には絶大な威力を発揮するものの、誤解してはならないのは、納豆菌自体が傷ついた胃粘膜を保護・修復してくれるわけではないという事実です。むしろ、胃粘膜にびらん(ただれ)や潰瘍が生じている状態で納豆を摂取すると、硬い豆の粒が物理的な刺激となって患部をこすり、激しい痛みを誘発する要因になります。
さらに見過ごせないのが、逆流性食道炎との関係性です。胃内滞留時間が長引く食品は、下部食道括約筋(胃と食道のつなぎ目を締める筋肉)への内圧を高め、胃酸の逆流を引き起こしやすくします。加えて、納豆に含まれる大豆サポニンは胃腸の粘膜を刺激する側面があり、胃酸過多の体質を持つ人が過剰に摂取すると、胸焼けや呑酸(口の中に酸っぱい液が上がってくる現象)を一段と助長する危険性を孕んでいます。