制度や経営方針としてデヴォリューションを掲げても、現場で意図通りの成果が出ないケースは後を絶ちません。組織論の専門調査や、実際に分権改革を経験した中間管理職・自治体職員の手記からは、「権限委譲の罠」とも呼ぶべき深刻な摩擦が浮き彫りになっています。
大手IT企業で事業開発を担当する30代マネージャーは、当時の社内インタビューで次のように本音を語っています。
「『今日から各チームに意思決定をデヴォリューションする』と経営陣から発表されました。しかし、承認プロセスがなくなった一方で、失敗した際の責任だけが現場に重くのしかかり、予算の増額権限は本社財務部が握ったままでした。これでは権限委譲ではなく、単なる『責任の押し付け(丸投げ)』です」
SNSやビジネスコミュニティの投稿を分析しても、「名ばかりデヴォリューション」に対する現場の不満は根強く存在します。「権限だけ渡されて判断基準が示されない」「トラブルが起きた途端に本社が口を挟んでくる」といった声が代表的です。
実効性のあるデヴォリューションを確立するためには、「決定権」「予算(リソース)」「失敗の許容範囲」という3要素が必ずセットで移譲されなければなりません。どれか1つでも欠落すれば、現場の疲弊と組織の機能不全を招く結果となります。