ネット上で「イラストが上手く描けない」と嘆く声の背景を分析すると、共通する大きな誤解が存在します。それは、「実物を忠実に再現しようとしすぎている」という点です。
心理学における図地知覚(何を図として認識し、何を背景とするか)の研究でも示されている通り、人間がイラストに対して「かわいい」「わかりやすい」と感じる際、脳内では対象の本質的な特徴のみを抽出した「記号」として情報処理が行われています。本物のモミの木の枝葉の重なりや、本物のトナカイの骨格構造をそのまま紙に落とし込もうとすると、線が過密になり、結果として「重苦しくかわいくない絵」になってしまいます。
イラストを描く際は、実物の観察ではなく「アイコン化された特徴」を抽出することが肝心です。「サンタ=白ヒゲ+赤帽子」「トナカイ=角+赤鼻」「ツリー=星+三角形」という記号の組み合わせに徹することこそが、誰でも失敗しないための最大の防御策となります。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
イラスト表現を取り入れるにあたり、自身が目指す方向性に応じた向き不向きを把握しておくことは大切です。
- 向いている人:手帳を気軽に楽しみたい人、子どもの連絡帳やお便りに温かみを添えたい人、シンプルで温かみのある北欧風雑貨テイストが好きな人。図形の組み合わせによるロジカルな描画法は即座に効果を発揮します。
- 慎重になるべき人:写実的で立体感のある本格的な絵画表現を求めている人、複雑な光の反射やパース(遠近法)を忠実に描写したい人。本稿で紹介するデフォルメ技法はあくまで「シンプル&キュート」に特化しているため、本格デッサンとはアプローチが異なります。