現在の湊川親方の力強い身体と不屈の精神を作り上げたのは、父・一哉さんの厳しいスパルタ指導と、母・純子さんの徹底した栄養サポートでした。
小学校時代から本格的に相撲を始めた息子のため、純子さんは日々の食事作りに全霊を捧げました。体を大きくすることが最重要課題だった成長期、毎日牛肉や豚肉を1キロ近く焼き、鍋やすき焼き、ハンバーグなどを惜しみなく食卓に並べ続けたというエピソードは有名です。
「食べることも稽古のうち」とはいえ、小学生の男の子が毎食ノルマのように大量の食事を口にするのは過酷そのもの。時には涙を流しながら食べる息子の背中をさすり、少しでも食べやすいように味付けや盛り付けを工夫し、愚痴一つこぼさずに台所に立ち続けたのが純子さんでした。厳しい父親と息子の間でクッションとなり、精神的なオアシスとして温かく包み込み続けた母の存在がなければ、平成・令和を代表する大関・貴景勝の誕生はあり得ませんでした。