園児たちが絶叫して逃げ惑う「夜中の12時」というフレーズ。児童文学関係者や伝承遊びの研究データによると、この遊びの直系の原型はイギリスおよび英語圏の伝統的な遊びである英語版 What time is it Mr Wolfにあります。
英国やオーストラリアでは19世紀頃から広く口承されてきたとされ、向こうでは「What time is it, Mr. Wolf?」「It's three o'clock.(3歩進む)」「It's dinner time!(ディナーの時間だ!)」という掛け合いが行われます。海外では明確に「捕食(命の危険)」を連想させる設定が、日本の保育環境に導入される過程で、幼児にも受け入れやすい「夜中の12時(お化けや怪獣が活動する暗闇の時間)」というメタファーへと変化したという経緯があります。
ネット上では稀に「魔女狩りや中世の略奪劇がモチーフ」といった都市伝説的言説が飛び交いますが、歴史人類学的な裏付けは存在しません。本質は、世界中の伝承遊びに共通する「捕食者と被捕食者の緊張関係を模倣したスリルトレーニング」です。心理学的には、子どもが信頼できる保護者や集団の中で「擬似的な恐怖」を体験し、危機を脱出することで自己効力感と安心感を再確認する「カタルシス効果」が設計されています。
捕まらないための最大のコツは、物理的な俊敏性ではなく「おおかみとの距離感のマネジメント」にあります。歩調を合わせつつもおおかみの肩の筋肉の動きや声のトーンを観察し、反転する予兆を察知して重心を後ろに残しておく動作は、幼児期における空間把握能力と危機察知能力の基礎を養います。