オーディオ機器を選ぶ上で、まず理解しておくべきは装着構造がもたらす音響的・生体的な差異だ。インナーイヤー型は耳介の窪み(耳甲介腔)にハウジングを乗せる形式であり、外耳道を完全に塞がない。対するカナル型は、シリコンやウレタンのイヤーピースを耳穴の奥へ挿入し、密閉空間を作り出す。
この構造の違いは、装着感と健康面に決定的な差を生む。耳鼻科専門医の調査報告でも、イヤホンの密閉による耳内湿度の急上昇(装着後わずか15分で湿度80%超に達するケースもある)がカビや細菌の繁殖を招くことが報告されている。インナーイヤー型は常に外気が通気するため、耳内部の蒸れを防ぎ、外耳道真菌症などのリスクを大幅に低減できる。
音響面においては、カナル型が細かな解像感と力強い重低音を得意とする一方、インナーイヤー型はスピーカーで音楽を聴いているかのような「広大な音場感」と「抜けの良い高域」を特徴とする。耳穴を密閉しないため、咀嚼音や歩行時の振動音(骨伝導ノイズ)、自分の話し声が頭の中に不快に反響する自声強調現象が一切発生しない点も大きなアドバンテージだ。