「カフェインレス」という言葉を目にしたとき、多くの読者が「カフェインがまったく入っていない飲み物」をイメージしがちです。しかし、国内の厳格な表示基準に照らし合わせると、そこには明確な定義が存在します。
全日本コーヒー公正取引協議会が定める規約によると、カフェインレスコーヒーとは「カフェインを90%以上除去したコーヒー」を指します。つまり、もともと含まれていたカフェインのごくわずかな割合(10%未満)が残存している可能性があるのが実情です。一般的なレギュラーコーヒーのカフェイン含有量は100mlあたり約60mg(1杯150mlあたり約90mg)とされています。カフェインレスの場合、1杯あたり約9mg以下にまで抑えられている計算になりますが、「完全なゼロではない」という事実は認識しておく必要があります。
日常会話や商品パッケージで混同されやすい「デカフェ」「ノンカフェイン」との違いは、原材料の性質と加工工程にあります。
「デカフェ(decaffeinated)」は、英語で「カフェインを取り除いた」という意味を持つ言葉です。実質的にカフェインレスとほぼ同義として扱われており、海外ではデカフェという呼称のほうが一般的です。緑茶や紅茶、コーラなど、もともとカフェインを含む飲料から特殊な技術で成分を抜き取ったものを指します。
一方、決定的に異なるのが「ノンカフェイン(カフェインフリー)」です。これは、麦茶、ルイボスティー、そば茶、カモミールなどのハーブティーのように、「原材料そのものに最初からカフェインが一切含まれていないもの」を指します。人工的な除去処理を行っておらず、生来カフェイン含有量が0%であるため、1mgのカフェインすら体に入れたくない重度の過敏症の方や乳幼児には、ノンカフェインが最も確実な選択肢となります。