続いて話題を呼んだ『おかしな気持ちにも破裂しそうな感情にも愛着がある日記』においても、その観察眼は冴え渡る。怒りや困惑、恥ずかしさといった、誰もが秘めているけれど言葉にしづらい感情。彼女はそれを否定も正当化もせず、まるごと愛着をもって観察してみせる。
優れたエッセイが持つ最大の強みは、読者に「これは自分のことだ」と思わせる波及力にある。感情が破裂しそうになった瞬間を、冷徹かつチャーミングに描写する筆致は、まさに彼女ならではの真骨頂。自分自身の歪みや不器用ささえも肯定してくれるような優しさが、多くの人々の心を救っているのだ。