『善悪の屑』は、2018年に本格的な実写映画化プロジェクトが発表され、原作ファンの間でも大きな期待が寄せられていました。監督を務めたのは『ノロイ』や『不能犯』でバイオレンスやサスペンス描写に定評のある白石晃士監督。主人公のカモ(鴨ノ目武)役に新井浩文、相棒のトラ(島津虎王)役に林遣都、そしてヒロインの奈々穂役に山本舞香という、実力派を揃えた豪華キャスト陣が名を連ねていたのです。
撮影は順調に進み、2019年5月の全国公開に向けてティザービジュアルや特報映像も順次解禁されていました。しかし、公開を目前に控えた2019年2月、主演を務めていた新井浩文が強制性交容疑で警視庁に逮捕されるという前代未聞の事態が勃発します。
作中で性犯罪者や凶悪犯を容赦なく成敗する復讐代行人を演じていた主演俳優自身が、性犯罪の被疑者として逮捕された衝撃は計り知れませんでした。配給元の日活は即座に協議を重ね、映画の公開中止を正式に発表。代役を立てての再撮影や撮り直しも検討されたものの、作品のテーマ性との致命的な乖離や予算面、権利関係の複雑さから実現には至らず、映画『善悪の屑』は完全に「お蔵入り」の憂き目を見ることになりました。