「虫だから野草や野菜を入れておけば生きるだろう」という思い込みこそが、バッタ飼育における最大の落とし穴です。初心者が無意識にやってしまうNG行動のうち、特に死亡率を高める原因は以下の3点に集約されます。
第1のミスは、「水分過多の野菜や市販野菜を与えること」です。昆虫ハンターとして知られる東京大学大学院農学生命科学研究科の牧田習氏ら専門家も警鐘を鳴らす通り、バッタの消化器官は繊維質の多い野草を効率よく分解するように進化しています。キュウリ、レタス、トマトといった水分の多い野菜を与えると、激しい下痢を起こして脱水状態に陥り、1〜2日で命を落とします。さらに市販の野菜には微量の農薬が付着しているケースがあり、昆虫にとっては致死毒となり得ます。
第2のミスは、「カブトムシ用の密閉ケースに湿ったマットを敷くこと」です。バッタは風通しの良い草原に生息する昆虫であり、高温多湿の環境を極端に嫌います。通気性の悪いフタを閉め切り、床に湿った昆虫マットを敷き詰めると、蒸れによって短時間で呼吸困難に陥り、カビや細菌が繁殖して全滅します。
第3のミスは、「ツルツルのプラスチックケース内で足場を作らないこと」です。バッタは高く跳躍する習性があるため、壁面が滑る狭いケース内では激突して脚をもぎ取ったり、頭部を強打して致命傷を負ったりします。また、幼虫が脱皮を行う際には「逆さにぶら下がる足場」が絶対に必要です。平坦な底面では脱皮不全を起こし、殻から抜け出せなくなって死亡します。