「近所にある異様な豪邸の正体とは?」という疑問に対し、警察当局の元捜査関係者や防犯設備業者は「一般の高級邸宅とは設計思想そのものが根本から異なる」と指摘します。一般的な富裕層の邸宅が採光や開放感、ステータスシンボルとしての美観を重視するのに対し、ヤクザの家の特徴は「外部からの視線遮断」と「物理的な襲撃への絶対的防御」に集約されます。
外観において最も顕著なのが、道路境界にそびえ立つ高い塀と防弾仕様の建具です。建築基準法上の制限(ブロック塀は2.2m以下など)をすり抜けるため、擁壁とフェンスを組み合わせたり、敷地全体を強固なRC(鉄筋コンクリート)壁で覆ったりして、外部から敷地内の様子が一切見えない構造をとります。ガレージには重量シャッターが備え付けられ、車に乗ったまま敷地内へ直接出入りできるよう設計されているケースが大半です。
さらに窓ガラスには網入りの防犯ガラスや防弾フィルム、内側からの鉄格子が設置され、カーテンやブラインドが年中無休で閉め切られています。これは狙撃や火炎瓶の投擲を防ぐと同時に、内部の動線や在宅状況を外部に悟らせないための措置です。高級住宅街にありながら、生活感が完全に消去された無機質な要塞――それこそが典型的な暴力団幹部の住居に見られる最大の共通点といえます。