長谷川芹奈が休養中であった2021年5月、所属事務所を通じて下された公式発表は、日本のエンターテインメント界において極めて異例かつ勇気あるものでした。彼女が診断を受けた病名は「双極性障害」および「ADHD(注意欠如・多動症)」でした。
双極性障害は、気分が高揚する「躁(そう)状態」と、激しい抑うつや無気力に襲われる「うつ状態」を慢性的に繰り返す精神疾患です。気分の波を意志の力で制御することは不可能であり、環境の急激な変化や慢性的な過労、強烈なプレッシャーは症状を著しく悪化させます。また、ADHDの特性である感覚過敏や多動性・衝動性は、並外れたクリエイティビティの源泉泉となり得る反面、規律正しい集団行動や過酷なスケジュール管理においては過剰な精神疲労を引き起こす要因となります。
芸能界において精神疾患の病名を具体的に明かすことには、依然として根強い偏見やリスクが伴います。それでもあえて病名を公表した背景には、「同じ病気で苦しんでいる人たちに寄り添いたい」「ファンに嘘をつきたくない」という彼女自身の強い信念がありました。公表時の手記で語られた「どんな時でも自分らしく、前を向いて生きていきたい」という言葉は、病気に対する社会的な理解を促進する大きな契機となりました。