我が国の心臓部である首都圏の防衛策において、主導的な役割を果たしてきたのが「首都直下地震防災・減災プロジェクト」だ。この国家的研究を推進してきた地震学者・平田直東京大学名誉教授は、首都圏地下の複雑な構造がもたらす特異なリスクを長年にわたり警告し続けている。フィリピン海プレートと太平洋プレート、そして陸のプレートが複雑に重なり合う首都直下では、想定される震源が単一の断層に留まらない点が極めて深刻だ。
平田氏らの最新シミュレーションによると、未知の伏在断層が連動して破壊された場合、従来の想定を超える超高層ビルの長周期地震動や、広域的な火災流動が発生する恐れがある。プレート境界だけでなく、地殻浅部に存在する微小な亀裂がドミノ倒しのように破壊を連鎖させるメカニズムが解明されつつあるのだ。こうした科学的知見は、従来の「耐震」を超えた「減災」の設計を根本から再構築する緊急性を強く物語っている。