野原ひろしというキャラクターを国民的父親に押し上げた立役者として、初代声優・藤原啓治さんの功績は計り知れません。低音でありながら温かみがあり、時には情けなく、時には圧倒的に頼もしい声の演技は、ひろしという人間に血肉を与えました。
2016年8月、藤原さんが病気療養のため休業に入り、代役として白羽の矢が立ったのが森川智之さんでした。その後、2020年4月に藤原さんが惜しまれつつ逝去された際、森川さんは深い哀悼とリスペクトを捧げ、正式に役を引き継ぎました。
当初は長年親しまれた声の変化に戸惑う視聴者の声もありましたが、森川さんは藤原さんが築き上げた「ひろしの魂やニュアンス」を徹底的に研究し、単なる物真似にとどまらない、自らの表現を融合させた新しいひろし像を確立しました。現在では、アニメ本編はもちろんのこと、塚原洋一氏による公式スピンオフ漫画『野原ひろし 昼メシの流儀』の世界観などとも呼応し、親しみやすいサラリーマンとしての魅力を広げ続けています。