どれほど事前のリハーサルを重ねても、芸能人の衣装アクシデントが完全に撲滅できない背景には、ステージ特有の構造的な要因が存在します。
第1の要因は、パフォーマンスの高速化とアクロバット化です。近年のダンスボーカルグループは、フォーメーションチェンジの激しさや跳躍、腕を激しく振り上げる振付が標準化しており、衣装にかかる摩擦や引っ張り強度は日常の服とは比較になりません。
第2に、ステージ裏での「秒単位の早着替え」が挙げられます。コンサート本編では、曲間のわずか数十秒で暗転したバックヤードに駆け込み、フィッター(衣装スタッフ)が複数人がかりで着替えを行うため、ファスナーの噛み合わせや安全ピンの留め具が完全に固定されないままステージへ戻るリスクが生じます。
第3に、音響機器(ワイヤレス送信機)の重量バランスです。腰や背中に装着する重たいトランスミッターが、激しい動きによって衣装本体を下方へ引っ張ってしまい、胸元や肩紐が予期せぬ位置までズレてしまう現象が、コンサートハプニングの理由として衣装担当者から度々指摘されています。