原作漫画において読者にトラウマ級の衝撃を与えたのが、敗者への処罰として執行される「焼き土下座」です。過熱された鉄板の上で10秒間土下座を強要されるというこの残酷なシーンは、実写映画版においてどのように描かれたのか、多くの観客が注目しました。
映画『カイジ 人生逆転ゲーム』では、PG12指定の枠内かつエンターテインメント作品としてのバランスを考慮し、原作とは異なるアプローチが採られました。映画版におけるカイジの利根川の結末は、Eカードでの敗北後、帝愛の総帥・兵藤会長(佐藤慶)の怒りを買い、失脚して地下帝国へと送られるという劇的な構成に変更されています。
原作の直接的な焼き土下座そのものは完全再現されなかったものの、利根川がプライドを粉々に砕かれ奈落の底へと転落していく様は、香川照之の迫真のリアクションによって凄惨なまでに表現されました。肉体的な苦痛描写以上に「精神の完全なる敗北」を魅せる演出へと昇華された点は、映画版ならではの見事な脚本判断といえます。