「電気ポットは電気代が高い」というイメージの根底には、24時間常時通電していることへの心理的抵抗感があります。全国家庭電気製品公正取引協議会が提示する新電力料金目安単価「31円/kWh(税込)」を基準に、現在流通している代表的な3.0Lクラスの電気ポットにおける消費電力量を算出すると、つけっぱなしの実情が明確に見えてきます。
電気ポットの消費電力は「湯沸かし時」と「保温時」で劇的に異なります。満水状態(3.0L)を室温約20℃から沸騰させるには約700W〜900Wの電力を要し、1回の沸騰にかかるコストは約8.5円〜10.5円です。一方、沸騰後の保温状態ではヒーターがフル稼働しているわけではなく、設定温度を維持するために間欠的な通電が行われます。
ここで大きな差を生むのが、本体の断熱構造です。真空断熱層を備えた最新の省エネモデルであれば、90℃保温時の消費電力は平均して15W〜20W程度にまで抑えられます。つまり、24時間つけっぱなしにした場合の保温電気代は1日あたり約11円〜15円、1ヶ月(30日換算)で約330円〜450円です。湯沸かしを1日1回行うと仮定しても、月額の総電気代は約600円〜750円に収まります。
一方で、断熱構造が簡易的な旧型モデルや格安モデルの場合、放熱を防ぎきれず、保温だけで35W〜45W以上の電力を消費し続けます。この場合、1ヶ月の保温電気代だけで約800円〜1,000円を超え、年間では1万円以上の支出となります。ネット上で「ポットの電気代が高すぎる」と悲鳴を上げている層の多くは、こうした旧世代機を長期間使い続けているケースが目立ちます。