動物が息を引き取った直後、多くの飼い主が無意識にとってしまう行動の中に、取り返しのつかない後悔を生む要因が潜んでいます。都内の動物病院に勤務する獣医師やペット葬祭の現場関係者が口を揃えて指摘するのは、ペットが死んだ時のNG行動として最も頻発する「体温を保とうとする処置」です。
「冷たくなって可哀想だから」と毛布や布団で何重にも包んだり、暖房の効いた部屋に寝かせたりすることは厳禁です。死後変化による腐敗の進行は、温度が高ければ高いほど加速度的に早まります。また、「綺麗にして送りたい」と温水シャワーで体を洗ってしまう行為も、水分が腐敗菌の繁殖を促すため避けるべきです。汚れが気になる場合は、固く絞った濡れタオルやガーゼで目元や口元をやさしく拭き取る程度にとどめてください。
死後2〜3時間ほどで四肢や顎から死後硬直が始まります。硬直が完了する前に、前足と後足を胸元へ軽く折りたたみ、眠っているような自然な姿勢に整えてあげることがご遺体の正しい安置方法の第一歩です。目や口が開いている場合は、指でそっと閉じて数秒間押さえてあげると自然に収まるケースがあります。
何よりも優先すべきは遺体の冷却です。ここで重要になるのが、保冷剤とドライアイスの使い方に関する正確な知識です。冷却のポイントは「背中」ではなく「腹部(内臓)」と「頭部(脳)」を冷やすことです。消化器系や中枢神経から腐敗が進むため、タオルで巻いた保冷剤をお腹周りと頭部に集中的に密着させてください。その際、溶けた結露水で毛並みが濡れないよう、保冷剤は必ずタオルや吸水シートで何重かに包み、水分の直接接触を防ぐ工夫が欠かせません。