生きたナマコを前にしたとき、多くの人が躊躇するのは「どこが頭でどこが尻なのか」「どこまでが可食部なのか」という点です。ナマコの身体構造は極めてシンプルであり、基本は円筒状の筋肉の塊に一本の消化管が通っているに過ぎません。道具は一般的な三徳包丁とまな板、粗塩、ボウルがあれば十分です。
失敗しないなまこの下処理とさばき方は、以下の4ステップで完結します。
ステップ1:両端の切断(口と肛門の除去)
ナマコをまな板に置くと、身を固く縮めて楕円形になります。よく見ると、触手のある「口」と、小さな穴である「肛門」が両端に存在します。口側には硬い石灰質の骨板(口輪片)があるため、両端をそれぞれ5ミリ〜1センチ程度スパッと切り落とします。
ステップ2:腹側を縦一文字に割く
ナマコには背側(イボが多い面)と腹側(管足と呼ばれる吸盤が多く平らな面)があります。色の薄い腹側を上にして置き、切り口から反対側の切り口に向けて包丁の刃先を入れ、縦一文字に切り開きます。
ステップ3:内臓の取り出しと洗浄
開くと中からオレンジ色や褐色の内臓が滑り出てきます。この内臓は後述する高級珍味「このわた」になるため、鮮度が良ければ破かないように指先で優しく引き剥がして別皿に確保します。内壁に残った泥や薄い膜を、冷水で手早く洗い流してください。ただし、真水に長く浸けすぎると身が吸水して急激に軟化し、ドロドロに溶ける原因になるため、洗う時間は10秒〜20秒程度にとどめるのが現場の鉄則です。
ステップ4:すじ(縦走筋)の処理とカット
内壁に白く走る数本の筋(縦走筋)は無害で食べられますが、硬さが気になる場合は包丁の背で軽く削ぎ落とします。その後、好みの厚み(通常は2〜3ミリ幅の薄切り)にスライスしていきます。