牛バラ肉は赤身と脂身が層になっており、コラーゲンや筋繊維が比較的多く含まれる部位です。フライパンでそのまま強火で炒めると、タンパク質が急激に収縮して水分が抜け、ゴムのような硬い食感になってしまいます。特売肉をしっとりジューシーに変えるには、調理前の「保水処理」と「酵素分解」が決定的な鍵を握ります。
手軽で効果抜群なのが、調理10分前に肉100gあたり「酒小さじ1・砂糖ひとつまみ・水小さじ1」を揉み込む下処理です。砂糖の優れた保水性とアルコールの浸透作用により、加熱しても肉汁が外に逃げ出しません。さらに極上の柔らかさを求める場合は、すりおろした玉ねぎや細かく刻んだ舞茸に20分ほど漬け込むのが効果的です。植物性プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の働きで、筋繊維がほぐれて箸で切れるほどの質感に仕上がります。
また、炒め物にする際は「冷たいフライパンに肉と油を入れてから弱中火で加熱する(コールドスタート)」手法が推奨されます。急激な熱ショックを与えず、油分をじっくり溶かし出しながら火を通すことで、パサつきを完全に防ぐことが可能です。