インターネット上の言説では、「いつ飲むか」というタイミング論ばかりが過剰にフォーカスされがちですが、これには重大な盲点があります。栄養学における効果のピラミッド構造を見落としている点です。
筋肥大および身体組成の改善において最も土台となるのは、「1日を通じた総摂取エネルギーとタンパク質の絶対量」です。どんなに秒単位で完璧なタイミングでプロテインを摂取したとしても、1日の総タンパク質摂取量が体重1kgあたり1.6gに満たなければ、筋肉の劇的な成長は望めません。逆に、1日の必要量を3〜4食に適切に分散して確保できていれば、トレーニング前後のタイミングが多少ずれたところで、筋肉の成長に与える影響の差は全体の数パーセント程度にとどまります。
「仕事の都合でジム直後にプロテインを飲めなかったから、今日の筋トレは無駄になった」と過度に落胆する心理は完全な誤解です。タイミングを絶対視するあまりストレスを抱えることは、カタボリックホルモンであるコルチゾールを分泌させ、かえって筋肉に悪影響を及ぼします。タイミングは「全体の枠組みが整った上での最後の微調整」と捉えるのが、スポーツ科学における健全な認識です。