万が一、虫体を発見したり強い感染が疑われたりした場合、どこへ行き、どのように治療を進めるべきなのでしょうか。
迷ったら「小児科」または「消化器内科」へ
受診先として最も適切な診療科は、乳幼児や小学生であれば「小児科」、中学生以上や大人の場合は「消化器内科」または「一般内科」です。肛門周囲の皮膚炎が激しい場合は皮膚科を受診するケースもありますが、根本原因である寄生虫を駆除するためには内科系統での診断がスムーズです。
受診時は、もし動いている虫体を発見できたら、セロハンテープでそっと貼り付けて密閉袋に入れるか、スマートフォンで鮮明な動画や写真を撮影して医師に見せると、無用な再検査を省いて迅速な確定診断につながります。
医療機関での処方薬と市販薬(パモキサン錠)の違い
蟯虫の駆除には、内服薬(駆虫薬)を使用します。医療機関では主に「メベンダゾール(商品名:コンバントリン等、現在は院内製剤や特定処方薬として流通)」などが用いられ、腸内の線虫に対して高い殺虫効果を発揮します。
一方、近隣のドラッグストアや薬局で入手できる蟯虫の市販薬として代表的なのが「パモキサン錠」(佐藤製薬)です。有効成分であるパモ酸ピルビニウムは、腸管からほとんど体内に吸収されず、腸内に留まって蟯虫の呼吸酵素系を阻害して麻痺・排泄させます。体内に吸収されないため副作用が比較的少なく、5歳以上から服用可能です(※服用後は便が鮮やかな赤色に染まりますが、薬の色素によるもので心配ありません)。
再発を防ぐ「2回服用」と家庭環境のリセット術
駆虫薬を使用する上で絶対に知っておかなければならない医学的原則があります。それは、「駆虫薬は生きている成虫には効くが、殻に包まれた卵には効かない」という点です。
薬を飲めば腸内の成虫は全滅しますが、すでに寝室や体表に撒き散らされた卵が残っていると、それが孵化して再び成虫になってしまいます。そのため、初回の内服から2〜3週間後(卵が体内で孵化し、次の産卵を始める前のタイミング)にもう一度同量を内服する「2回投与法」が医学的な標準手順とされています。
さらに、本人のみならず同居家族全員が自覚症状の有無にかかわらず同時に薬を飲むことが推奨されます。あわせて以下の家庭環境リセットを徹底してください。
- 下着・シーツの熱処理:蟯虫の卵は熱に弱く、60度以上で死滅します。シーツやパジャマは熱湯消毒するか、コインランドリーの高温乾燥機に30分以上かけます。
- 爪を短く切り、手洗いを徹底:爪ブラシを使って指先の卵を物理的に掻き出します。
- 寝室の掃除機がけ:シーツを外す際は卵が空気中に舞い上がらないよう静かに丸め、床や寝室の隅を念入りに掃除機で吸引します。