「日芸ブランド」を語る上で欠かせないのが、エンタメ界・カルチャー界に張り巡らされた圧倒的なOB・OGネットワークです。数え上げれば切りがないほどの有名人が江古田の地から巣立っています。
劇作家・映画監督の三谷幸喜、脚本家・演出家の宮藤官九郎(中退)、映画監督の塚本晋也、アニメーション監督の富野由悠季や片渕須直をはじめ、俳優陣では佐藤隆太、真田広之、中井貴一、船越英一郎、池松壮亮、黒島結菜、元乃木坂46の松井玲奈など、第一線で活躍する表現者を網羅しています。さらに作家の林真理子(現・日本大学理事長)や吉本ばなな、写真家の篠山紀信、音楽プロデューサーの松任谷正隆など、各分野の頂点に日芸出身者が名を連ねています。
なぜ日芸からはこれほどまでに才能が輩出され続けるのか。現場の教育構造と学生コミュニティを分析すると、「自走を促すスタジオシステム」と「同世代の強烈なライバル意識」の2点に行き着きます。
日芸では、教員が教壇から一方的に理論を教える授業よりも、学生同士がチームを組んで作品をゼロから立ち上げる実践演習がカリキュラムの中心に据えられています。学生たちは在学中から「プロデューサー」「ディレクター」「演者」「技術スタッフ」として役割分担し、予算管理からスケジュール調整、キャスティング、上映・公演交渉までを自分たちで行います。この過程で培われる交渉力やトラブルシューティング能力は、卒業後に現場へ出た瞬間からプロとして通用するタフネスを生み出します。
さらに、江古田というコンパクトな街の中で、夜遅くまで互いの作品を批評し合い、ときに激しく衝突しながら切磋琢磨する独特のカルチャーが、学生たちの表現力を極限まで研ぎ澄ませています。