なぜ、市販の痒み止めや強力なステロイド外用薬、抗ヒスタミン薬が一切効かないのか。その理由は、かゆみが発生する生物学的メカニズムそのものが根本から異なる点にある。
虫刺されや接触皮膚炎であれば、皮膚内の肥満細胞から放出されるヒスタミンが主犯だ。対して、肝臓の機能不全に伴う痒みは、脳と神経系をコントロールする内因性オピオイド(β-エンドルフィン等)のバランス崩壊や、血中胆汁酸濃度の過剰上昇がトリガーとなる。つまり、皮膚表面の出来事ではなく、脳に対して「かゆい」という信号がダイレクトに送信され続けている状態なのだ。どれほど皮膚の表面を冷やしたり薬を塗ったりしても、気休めにすらならない理由はここにある。