物語の核心に鎮座するこの計画は、実は二つの異なる目的を抱えて進行していた。秘密結社ゼーレが目指したのは、原罪を背負う全人類の自我を解体し、ひとつの集合魂へと統合するアダムの復活に伴う「神への還元」である。肉体を捨て、恐怖や孤独が存在しない世界を作るという、ある種の極端なユートピア思想だ。
これに対し、特務機関NERVの最高司令官である碇ゲンドウの思惑は、まったく別の場所にあった。彼にとって世界全体の救済などは副次的なものに過ぎず、真の目的は亡き妻・ユイとの再会ただ一点。ゼーレの筋書きを利用しながら、密かに自らの個人的な欲望を果たす「私的補完」へと計画をすり替えていたのである。この二者による背信と主導権争いこそが、物語を裏で突き動かす真のモータースペックであった。