講談社の「別冊少年マガジン」に連載され、手塚治虫文化賞新生賞をはじめ数々の漫画賞に輝いた田島列島の傑作原作。今回の漫画実写化を手掛けたのは、『そして、バトンは渡された』など人間味あふれるドラマ作りに定評のある前田哲監督だ。
原作の持ち味である独特のオフビートな会話の間や軽妙なユーモアを忠実に再現しつつ、実写版では「視覚と音の豊かさ」が徹底的に追求された。ジュージューと音を立てる牛すき焼きの匂い立つようなシズル感、雨上がりの青空の質感、そして登場人物たちの沈黙。原作の持つ文学的なニュアンスを一切削ぐことなく、映画ならではの情緒的な映像美へと昇華させた手腕は圧巻だ。