ネット空間で「ゴミできらめく世界」という言葉が急速に浸透した背景には、ガーナのアクラ近郊に位置するスラム街「アグボグブロシー」の電子廃棄物(E-waste)問題と、それをアートへと転換させた日本人美術家・長坂真護(ながさか まご)氏らの活動があります。
アグボグブロシーには、先進国から毎年数十万トン規模の電子機器が「中古品」の名目で持ち込まれ、日当わずか数百円で働く現地の若者たちがそれらを野焼きして銅線を取り出していました。立ち込める有毒ガス、土壌と河川の重度汚染、そして20代から30代で命を落とす労働者たち。かつて報道各社が「地球上で最も汚染された場所」と報じたこの地獄のような現場こそが、すべての原点です。
長坂氏は2017年に現地を訪れた際、捨てられていたキーボード、電子基板、廃プラスチック、配線コードなどを拾い集め、キャンバスの上に再構築する創作活動を開始しました。先進国の富が生み出した廃棄物が、美しい肖像画や立体アートへと生まれ変わり、数千万円から1億円を超える価格で取引される。この劇的な逆転現象と、ゴミの山から生み出された奇跡のような輝きこそが、「ゴミできらめく世界」と称される所以です。
単なる環境保護のプロパガンダではなく、美術品としての圧倒的な造形力と、廃棄物そのものが持つ物質的な強烈さが融合したことで、従来のチャリティアートの枠を完全に打ち破る国際的評価を獲得しました。