松嶋菜々子が怪演した佐々木弓子は、物語前半において最も不気味な存在として描かれました。タワーマンション最上階に住み、自宅に監視カメラのモニターを並べて高野家の生活を監視していた弓子。その本当の正体は、高野健一の最初の妻であり、長男・和樹の実の母親でした。
弓子の過去はあまりにも過酷なものでした。かつて和樹が幼い頃、家族を執拗につけ狙うストーカーから幼い息子を守るため、弓子は正当防衛の末に相手を刺殺してしまいます。実刑判決を受けた弓子は、幼い和樹に「人殺しの息子」という過酷な十字架を背負わせないため、健一と離婚。和樹には「母は病気で死んだ」と嘘をつき、自ら戸籍を捨てて服役する道を選びました。
出所後、フラワーアレンジメント講師として成功を収めた弓子は、偶然にも高野家が同じタワーマンションに引っ越してくることを知ります。新しい母親である亜紀(菅野美穂)が本当に和樹を愛しているのか見定めるため、そして再び母親として和樹を取り戻したいという痛切な想いから、冷徹な隣人を演じて監視を続けていたのです。