近年、ペットショップや一部のネット広告で「希少なプレミアカラー」「幻の毛色」と銘打たれ、高額で販売されるケースが見られるのが、チョコ(レバー)、レバー&タン、パーティー(牛柄)、マール、イエローといった非公認カラーです。
JKCや国際畜犬連盟(FCI)、アメリカンケネルクラブ(AKC)などの主要団体がこれらの色を公認しないのには、明確な遺伝学的・動物福祉上の理由が存在します。
本来のミニチュアシュナウザーが持たない劣性遺伝子を無理に発現させるため、以下のような健康リスクが報告されています。
- カラーダイリューション脱毛症(CDA):毛色を薄めるダイリューション遺伝子(d遺伝子)の変異によって引き起こされる皮膚病。毛根周囲に異常なメラニン色素が集積し、毛根が破壊されて重度の脱毛や難治性皮膚炎を招く。
- 視覚・聴覚障害(マール遺伝子の弊害):マール模様を作り出す遺伝子同士の掛け合わせ(ダブルマール)では、小眼球症、盲目、先天性難聴などの重篤な障害が高確率で発生する。
- 近親交配による内臓疾患:珍しい色を固定化するために極端な近親交配(インブリード)が繰り返され、免疫不全や心臓疾患、若年性白内障などの遺伝病リスクが跳ね上がる。
「人とは違う珍しい犬を連れて歩きたい」という人間の過度な顕示欲や商業主義の裏で、遺伝性疾患に苦しむ個体が存在する事実は見過ごせません。毛色の遺伝の真相を理解し、犬の生涯の健康とQOL(生活の質)を最優先に考える姿勢が求められます。