『星笛』を吹きこなす上で最大の難所となるのが、中音域から高音域への跳躍と、繊細なピアニッシモの維持だ。実技テストやステージ発表会で確実な差を生むための実践的なアプローチを整理したい。
まず見直すべきはサミング(左手親指による裏穴のコントロール)である。高音の「ミ」や「ファ」へ移行する際、親指の爪の先で裏穴をほんの三日月状に開ける感覚を指先に覚え込ませる。穴を開けすぎるとピッチが上ずり、狭すぎると音がひっくり返る。親指の関節をわずかに曲げてスライドさせる微細な運動が、濁りのないクリスタルな高音を生み出す鍵だ。
次に息のスピードと圧力のマネジメント。力任せに吹き込む息は、ソプラノリコーダーの澄んだ響きを一瞬で破壊する。温かい息をストローの先から細く遠くへ届けるイメージで、口腔内を「ホ」の形に広く保つ。息の初速を抑え、舌先を軽く弾く「tu(トゥ)」ではなく「du(ドゥ)」に近いソフトなタンギングを選択することで、星空の静寂を思わせる柔らかなアタックが実現する。