大手イラスト・小説投稿プラットフォームのpixivにおけるデータを確認すると、「#夏五」タグのイラスト・マンガは3,124件、小説・SSは7,076件を記録し、累計投稿数は1万件を優に超えています。関連タグには「#腐術廻戦1000users入り」「#切ない」「#青春」が並び、X(旧Twitter)や各種マンガ投稿サイトでも数多くの派生作品が生み出され続けています。中国の「番茄小説」をはじめとする海外ポータルでも9.5万字におよぶ二次創作小説が連載されるなど、その人気は国境を越えて広がりを見せています。
こうした熱狂の一方で、ネット上では「単なる二次創作上の恋愛的なカップリング消費に過ぎないのではないか」という皮肉混じりの誤解が散見されるのも事実です。しかし、原作テキストを精読すれば、彼らの絆が安易な友情や恋愛といった枠組みに収まらない、人間存在の根源的な問いを孕んでいることが分かります。
誤解されがちな点として、「五条は夏油の異変を見捨てたのか」「夏油は五条を憎んでいたのか」という疑問が挙げられます。公式の描写を追う限り、五条が見捨てたのではなく、「最強」ゆえに他者の弱さや苦痛を想像できなかったという認知の限界がありました。また夏油も五条を憎悪していたわけではなく、「君は五条悟だから最強なのか、最強だから五条悟なのか」という問いを遺した通り、自らが到達できなかった神の領域に立つ友への憧憬と疎外感に苛まれていたのです。