医療機関を訪れる大腸がん患者の手記やコミュニティでの相談事例を検証すると、共通して浮かび上がるのが「最初の出血を痔と勘違いして半年以上放置してしまった」という後悔の言葉です。
大手医療相談掲示板やSNSに寄せられる実例でも、「20代の頃から切れ痔持ちだったため、便の表面に赤い血がついた際も市販の注入軟膏で様子を見ていた」「トイレットペーパーに血がつく程度だったため、仕事の忙しさを理由に受診を先延ばしにしていた」という書き込みが後を絶ちません。しかし、その後「便が鉛筆のように細くなる」「残便感が消えない」といった異常を感じて受診した段階で、すでに進行直腸がんと診断されるケースが少なくないのが現場の実態です。
血便の放置における最大の危険性は、「痔疾患と大腸悪性腫瘍は平気で併発する」という事実にあります。仮に切れ痔やいぼ痔を患っていたとしても、その奥の直腸やS状結腸にポリープやがんが併発していない保証はどこにもありません。「痔があるから出血した」という思い込みが、背後に隠れた重大な病変の発見を覆い隠してしまうのです。