米国球界において長年「スプリットやフォークは肘の靭帯(UCL)を破壊する」という警告が鳴らされてきました。トミー・ジョン手術を受ける日本人投手にスプリットの使い手が多いことから、そのリスクを懸念する指導者も少なくありません。
しかし、近年のスポーツ科学のデータ分析では、「スプリットそのものが危険なのではなく、誤った身体動作で投げることが危険である」という事実が浮き彫りになっています。
肘を痛める投手に共通する最悪のフォームエラーは、ボールを無理に下に落とそうとして手首を手のひら側に強く屈曲(フォースド・フレクション)させ、チョップするように腕を振り下ろす動作です。この投げ方をすると、リリースの衝撃が前腕の回内筋群で吸収できず、肘の内側側副靭帯へダイレクトに剪断応力(引き裂く力)として集中してしまいます。
肘を痛めないための絶対原則は、「ストレートと1ミリも違わない腕の軌道と前腕の自然な内旋(プロネーション)」です。リリース直後、親指が下を向き、手のひらが外側を向く自然なフォロースルーを妨げてはいけません。ボールの回転は指の「挟み幅」で殺すものであり、腕の振りや手首の無理なアジャストで落とそうとしてはならないのです。