「星空のディスタンス」が誕生した1983年後半、THE ALFEEを取り巻く環境は激変の只中にありました。同年発売の「メリーアン」がチャートを急上昇し、念願だった『NHK紅白歌合戦』への初出場を果たすなど、下積み生活を脱したバンドは「次の一手」で真の真価を問われていたのです。
当時、すでに決定していた大型案件がTBS系金曜ドラマ『無邪気な関係』の主題歌オファーでした。しかし、楽曲制作の現場は平坦ではありませんでした。高見沢俊彦の作曲作業において、当初提出されたデモテープはドラマ制作サイドの意向と完全に合致せず、厳しいリテイクが課されたと伝えられています。作詞を手掛けた高見沢と作詞家の高橋研は、限られた締め切りの中でスタジオに缶詰めとなり、歌詞とメロディの抜本的な再構築を余儀なくされました。
後年のインタビューや手記で語られている現場の緊迫感は凄まじく、サビのメロディラインを夜通し練り直す中で、突如閃いたのがあのアカペラから雪崩れ込む劇的なイントロ展開でした。窮地に追い込まれながらも商業的な要求を呑み込みつつ、自らの美学であるハードロックとフォークの融合を妥協なく貫いた執念こそが、大ヒットの突破口を開いたのです。