飲み始めの数週間は「布団に入って15分で意識が途切れる」ほどの劇的な効果を実感していた人が、数ヶ月経つと「飲んでも1時間以上眠れない」と訴え始める現象。これこそが、マイスリーの耐性がつき効かなくなる理由です。
耐性が形成されると、患者は無意識のうちに薬の量を増やそうとします。本来は医師から処方された5mgや10mgの指示上限を守るべきところを、「今夜は大事な会議があるから」と自己判断で1.5錠、2錠と増量してしまうケースが散見されます。この行動パターンこそが、深刻なマイスリーの依存性の入り口です。
依存には「身体的依存」と「精神的依存」の二面が存在します。なかでも睡眠薬依存をやめられない理由の核心にあるのは、強烈な予期不安に基づく精神的依存です。「もし今夜マイスリーを飲まなかったら、一睡もできずに翌日の生活が破綻するのではないか」という恐怖心(条件づけ)が毎夕刻に襲いかかります。この心理的プレッシャーそのものが交感神経を刺激して脈拍を上げ、脳を過覚醒状態に追い込むため、結果として「薬がないと絶対に眠れない」という自己成就予言を完成させてしまうのです。