山本五十六の遺体はなぜ端座していたか|検死調書と即死説の矛盾を追う

山本五十六の遺体はなぜ端座していたか|検死調書と即死説の矛盾を追う

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捜索隊が目撃した光景として長年語り継がれてきたのが、「山本長官が座席に深く腰掛け、両手で軍刀の柄を握り、あたかも瞑想しているかのように端座していた」という異様な姿です。激しい空中戦の末、時速数百キロメートルで密林の大木を薙ぎ倒して激突した機体から、衣服も乱れず軍刀を構えたままの姿で発見されるなど、物理的にあり得るのでしょうか。

現場の検証が進むにつれ、この「端座像」には明確な背景があったことが浮かび上がってきました。当時の捜索関係者の証言や手記を丹念に辿ると、浜砂少尉率いる陸軍捜索隊が到着する前に、現地の先遣部隊や下士官が先に現場へ到達していた事実が確認できます。発見当時、長官の遺体は激しい衝撃によって座席ごと機外へ投げ出され、泥の中に倒れ込んでいたとされています。

日本軍において、連合艦隊司令長官の遺体が泥まみれで無残に転がっている状態は、あまりにも忍びないものでした。最初に長官を識別した兵士たちが、畏怖と敬意の念から遺体を抱き起こして座席に戻し、泥を拭い、身につけていた軍刀を持たせて姿勢を整えたというのが、法医学および物理的見地から導き出される真相です。これが後から到着した捜索本隊に「座席に端座していた」と報告され、やがて軍神の神話として定着していきました。

吉田 誠
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吉田 誠

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