なぜ高校球児の名前にこれほど劇的な変化が生じたのか。その真相を紐解くには、球児たちの親世代が直面した2000年代の社会潮流を分析する必要があります。
2008年前後は、育児雑誌やインターネットの名づけサイトが爆発的に普及した時期と完全に合致しています。画数判断や旧来の命名則にとらわれず、「他者と被らないオンリーワンの個性を持たせたい」「グローバル社会で輝く響きを授けたい」という自己表現志向が、親世代の共通価値観として形成された時代です。
スポーツ新聞の連載企画や地方大会の選手名鑑に掲載された高校球児の名前の由来を紐解くと、以下のような実情が浮かび上がります。
「どんな逆境でも太陽のように周囲を照らす人になってほしい」「広い海のように限界を決めず挑戦してほしい」――。グラウンドで泥にまみれる球児たちの名には、親が子に託した極めて純粋でポジティブな祈りが込められており、無秩序な奇抜さとは一線を画す文脈が存在します。