古くからの言い伝えでは、28日が良いとされる一方で、直後の29日と31日に正月飾りを出すことは「固く慎むべきタブー」とされてきました。インターネット上でも毎年のように議論が巻き起こるこの噂ですが、そこには明確な民俗学的・心理学的根拠が存在します。
まず、12月29日を避ける最大の理由は、語呂合わせによる「二重苦(にじゅうく)」への連想です。また「9」の数字が「苦」に通じることから、この日に飾りを立てることを「苦立て(くだて)」と呼び、わざわざ災厄や苦痛を家に招き入れる行為として厳しく戒められてきました。
ただし、一部の地域や商人の間では「29=ふく(福)」と読み替えて「二重に福が来る吉日」と解釈する逆転の風習も残されています。しかし、これは縁起直しの特殊な俗信に過ぎず、全国的な共通認識としては避けるのが無難です。
さらに厳格に忌避されるのが、大晦日である12月31日の「一夜飾り(いちやかざり)」または「一日飾り」です。この日に飾ることを避ける理由は主に2点あります。
第1に、歳神様を迎える前日になって慌ただしく飾り付けをすることは、「神様に対して極めて不敬で誠意に欠ける」とみなされる点です。第2に、日本の伝統的な葬儀において、急逝した故人の枕元に祭壇を設ける「通夜の一夜飾り」と形式が重なり、不吉な死や葬列を連想させる点にあります。
「30日はどうか」という疑問もしばしば寄せられますが、30日は旧暦でいう晦日(みそか)に近く、数字的にも悪くはないため「28日にどうしても間に合わなかった場合の次善の策」とされています。とはいえ、心理的なゆとりを持って新年を迎えるためには、やはり28日中の完了がベストな選択肢です。