舌の奥や側面に突起物を見つけて「腫瘍ではないか」と不安を覚える相談は後を絶ちません。しかし、舌の奥にあるブツブツで痛くない場合、その多くは正常解剖組織である「有郭乳頭(ゆうかくにゅうとう)」や「葉状乳頭(ようじょうにゅうとう)」です。これらは味覚を司る味蕾を備えた誰にでもある組織ですが、体調不良や軽度の炎症で一時的に肥大化し、初めて存在に気づいて驚くケースが多発しています。
一方で、肉眼的な異常が一切認められないにもかかわらず、「舌先や縁が火傷をしたようにヒリヒリ・ピリピリ痛む」という症状に悩まされる方がいます。これは「舌痛症(ぜっつうしょう)」と呼ばれる機能性の疾患です。
舌痛症の原因には、微小神経の過敏化、更年期に伴うホルモンバランスの変化、亜鉛・鉄分不足、精神的ストレスなどが複雑に関与しています。治療には、口腔内の環境改善に加え、漢方薬の処方や痛みの閾値を整える抗うつ薬・抗不安薬の微量投与、認知行動療法などが有効とされています。