クックパッドやYouTubeのショート動画を開けば、数分でアワビを処理するダイジェスト映像が無数に見つかる。しかし、テンポの良さを追求するあまり、衛生面や貝の状態の見極めといった決定的なプロセスが省かれがちだ。
鮮度の落ちたアワビは加熱調理に回すべきであり、生食には明確な境界線が存在する。身を押したときに即座に跳ね返すような弾力があるか。呼吸孔の周辺が濁っていないか。特に肝は鮮度の劣化が最も早く現れる部位であるため、少しでも異臭を感じたり色褪せていたりする場合は、生食を避けて酒蒸しやバターソテーに切り替える判断が欠かせない。情報が溢れる時代だからこそ、道具の消毒や温度管理といった地味な基本に立ち返る冷静さが求められる。