室井慎次という一人の男の生き様を再び現代に問いかけた話題作、『室井慎次 敗れざる者』および『室井慎次 生き続ける者』。この二部作の制作は、日本映画界において極めて大きなインパクトを与えた。
極寒の秋田ロケで行われた撮影では、厳しい自然環境と向き合いながら、室井の「警察を去った後の静かな生活」と「胸の奥底で消えない正義感」が緻密に描かれた。撮影現場での彼は、長年演じ続けてきた大役に終止符を打つかのような、並々ならぬ覚悟でカメラの前に立っていた。共演者やスタッフを気遣い和ませつつも、いざ本番となれば一瞬で室井の眼差しに変貌する緊張感。まさに命を吹き込むような演技の連続が、現場の空気を支配していた。