世田谷一家殺人事件は、日本の司法制度を根本から変滅させる契機となりました。事件発生当時、刑法上の殺人罪の公訴時効は15年であり、このままでは2015年12月に捜査が打ち切られる運命にありました。
宮沢みきおさんの母・節子さんや、姉の入江杏さんをはじめとする被害者遺族は「宙の会(殺人事件被害者遺族の会)」を結成し、法改正を求める署名活動を全国で展開しました。「愛する家族を理不尽に奪われた遺族にとって、時効など存在しない」という切実な叫びは社会を動かし、2010年4月、殺人罪などの公訴時効撤廃(刑事訴訟法改正)が成立しました。
この歴史的な法改正により、世田谷一家殺人事件に時効はなくなりました。警察は犯人が逮捕されるその日まで、何年、何十年が経過しようとも捜査を継続する法的な義務と権限を保持し続けています。事件の記憶を風化させず、被害者の尊厳を守り続ける社会の構築こそが、この悲劇から導き出された最も重い教訓です。