「室内犬としておとなしいという評判は本物なのか」という疑問に対する答えは、犬種ごとの「興奮閾値」と「選択交配の歴史」に隠されています。動物行動学の観点から見ると、無駄吠えや噛み癖が極めて少ない犬種には、刺激に対する反応速度が緩やかで、警戒アラートを鳴らしにくい神経伝達系の特徴が確認されています。
もともと牧羊犬やテリア種、日本犬などの使役犬は、不審な物音や小動物の気配に素早く反応し、吠えて人間に知らせたり威嚇したりする能力が重視されてきました。これに対して、純粋なコンパニオンドッグ(愛玩犬)として宮廷などで改良されてきた歴史を持つ犬種は、人間と密接に過ごしても攻撃行動を起こさず、物音に対しても過敏に反応しない性質が固定化されています。
家庭犬ドッグトレーナーへの取材によると、噛み癖や威嚇吠えで相談に持ち込まれるケースの約7割は、警戒心や防衛本能が強い使役系犬種であり、純粋な愛玩系犬種が攻撃性を理由にトレーニングを受ける割合は際立って低い数値を示しています。室内で平和に暮らせるかどうかは、飼い主の腕前以前に、犬種本来が持つ刺激耐性の高さが土台となっているのです。