ネット検索や保護者のコミュニティで頻繁に見受けられるのが、あかね書房のロングセラー幼年童話『ぞくぞく村のおばけうんどうかい』(作:末吉暁子、絵:垂石眞子)との混同です。同じ「おばけたちの運動会」をテーマに据えているため混同されがちですが、判型・対象年齢・読書形態において決定的な違いが存在します。
1989年の刊行以来、小学校低学年の朝読書や一人読みの入門書として愛され続ける『ぞくぞく村のおばけうんどうかい』は、魔女のオバッタさんや透明人間のトオセンボなど、確立されたキャラクター造形と緻密なテキスト展開が魅力の幼年童話です。1冊あたりのページ数は約60〜80ページに及び、5歳前後の聞き手にはややボリュームがあります。
一方で、保育園・幼稚園の現場で読み聞かせや行事テーマとして活用される絵本版『ゾクゾクうんどうかい』(幼児向けピクチャーブック)は、大判のビジュアルで見せる工夫が施され、所要時間5〜8分程度で一気に読める構成になっています。現場の教諭からは「タイトルだけで注文した保護者が、届いた本の文字量の多さに驚いたという相談が年に数件ある」という声も聞かれます。目的が「一斉活動の導入」なのか「個人の読書体験の深化」なのかによって、選ぶべき書籍が異なる点は押さえておきたい重要事項です。