卵の物理的な選別を終えた後、安全に孵化まで導く防壁となるのが、メダカ卵のカビ防止対策の王道である抗菌薬「メチレンブルー」の活用です。
市販されているメチレンブルー水溶液は魚病薬(白点病や水カビ病治療用)として流通していますが、卵の防カビ用途では「規定量よりもかなり薄め」に調合するのが鉄則です。理想的なメチレンブルー水溶液の希釈濃度は、水槽治療用の半分から3分の1程度、水深10cmの容器の底がクリアに見通せる「薄いスカイブルー(透明感のある青空の色)」が最適解となります。原液を直接飼育容器に入れるのではなく、別容器に汲んだ水へ爪楊枝の先端やスポイトで1滴ずつ垂らし、撹拌しながら色味を調整するのが失敗を防ぐコツです。
メチレンブルーには特筆すべき「天然のマーカー機能」が備わっています。健全な有精卵の受精膜は色素を遮断するため、青い水の中に浸かっていても卵自体は透明な琥珀色を維持します。一方、細胞膜が機能していない無精卵や死卵は、メチレンブルーの色素を内部まで吸収し、数時間から半日で見事な「濃い藍色」に染まります。つまり、青く染まった卵を見つけ次第、スポイトで吸い出して破棄するだけで、専門知識がなくても完璧に病原菌の苗床を根絶できるのです。
なお、孵化直前の段階(目玉がはっきりと見え、卵の中で稚魚がクルクルと回転し始める時期)になったら、カルキを抜いた清澄な水で徐々に薬浴水を薄めていきます。メチレンブルーが濃い環境のまま孵化を迎えると、誕生したばかりの針子のエラに負担をかける懸念があるためです。