「一体なぜ裏切りは起きたのか?」という問いに対し、犯罪心理学や組織行動論では複数の要因が提示されています。人が組織や仲間を裏切る内通者の理由は、単純な悪意だけでは説明できません。
CIA(米中央情報局)をはじめとする諜報機関では、裏切り者の動機を分析するフレームワークとして「MICE(Money=金銭、Ideology=思想、Coercion=脅迫、Ego=承認欲求・自尊心)」が広く知られています。これを現代の人間関係や創作物における内通者の心理に当てはめると、以下の3つの深層心理が浮かび上がります。
第一に、「過小評価に対する歪んだ復讐心」です。「自分はこれほど貢献しているのに正当に評価されない」という鬱屈した不満が、敵対勢力からの甘言や承認によって刺激され、「この組織を困らせてやりたい」という動機へと変質します。
第二に、「二重生活に伴う認知的不協和の解消」です。最初は些細な秘密漏洩や脅迫から始まった関係であっても、次第に「自分は本当はこちらの陣営に属しているのだ」と自己を正当化しなければ精神の均衡が保てなくなります。結果として、より深みへと嵌まり込んでいきます。
第三に、「圧倒的な力への迎合と保身」です。組織の崩壊を予見した者が、自分が生き残るための「保険」として敵と裏取引を行うケースです。