10キロ痩せる モチベーション。これは食事法や運動法と同じくらい、いやそれ以上に合否を分ける要素である。医学的にも、ダイエットの失敗要因の多くは「意志の弱さ」ではなく「ホルモン反応による食欲増加」だとわかっている。
体重が減ると、体は飢餓状態と誤認し、食欲を増進させるグレリンというホルモンが増加する。同時に満腹感をもたらすレプチンが低下する。つまり、減量が進むほど「食べたい」という生理的欲求は強まる。これは意志の問題ではない。このホルモン変化を知らないまま「自分は意思が弱い」と自己嫌悪に陥り、リバウンドするケースが非常に多い。
この対策として有効なのが「チートデイの計画的導入」と「体重以外の指標の記録」だ。チートデイは10〜14日に1回、好きなものを食べる日を設けることで、低下したレプチンを回復させる効果がある。また、体重計の数字だけでなく、腹囲、体脂肪率、写真による見た目の変化を記録することで、停滞期のモチベーション低下を防ぐ。とくに10キロという大きな減量では、必ず停滞期が来る。そこで「変わらない」のではなく「維持できている」と捉えられるかが分かれ目になる。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
10キロ痩せるという目標は、すべての人に同じ方法で適しているわけではない。編集部の取材と分析から、以下の判断基準を示す。
この方法が向いている人:
・BMIが25以上の肥満傾向にあり、生活習慣病のリスクを指摘されている人
・3〜6ヶ月という中長期の計画を立てられる人
・食事記録や体重記録を面倒がらず続けられる人
・健康診断で肝機能や血糖値の異常を指摘された人
慎重になるべき人:
・BMIが18.5未満の痩せ型で、さらに体重を落とそうとしている人
・過去に摂食障害の既往がある人
・1ヶ月で結果を出そうとしている人
・妊娠中・授乳中の人、または基礎疾患で治療中の人
とくに痩せ型の人が「あと10kg痩せたい」と望むケースは、単なる体重の問題ではなく、ボディイメージの歪みや自己肯定感の課題が背景にあることが多い。心理カウンセリングや専門医への相談を優先すべきだ。健康的な10kg減量は、あくまで「体脂肪率を下げ、筋肉量を維持し、生活習慣を立て直す」プロセスである。数字だけを追うのは本末転倒だということを最後に強調しておきたい。