料理サイトやSNSでは「里芋はどんな料理でも必ず下茹ですべき」という意見が見られますが、調理科学の視点から見るとこれは明確な誤解です。
例えば、豚汁、けんちん汁、いものこ汁などの汁物や、片栗粉をまぶして揚げる里芋の唐揚げの場合、下茹でを省いて生のまま調理しても問題ありません。汁物では里芋の適度なとろみが汁全体にコクを与え、揚げ物では油の高温加熱によってシュウ酸カルシウムの刺激が分解されるためです。
一方で、イカと里芋の煮物や、筑前煮のように「煮汁を澄んだ状態に保ち、だしの風味を奥まで染み込ませたい料理」では、下茹でを省略するとぬめりが煮汁を濁らせ、味がぼやけてしまいます。「澄んだ味付けの煮物には下茹で必須、コクを活かす汁物や揚げ物は省略可能」と見極めることが、無駄な手間を省く賢いアプローチです。