本作のドラマツルギーを語る上で欠かせないのが、ヒロインが犯した「嘘」の存在です。東京大学理学部という輝かしい学歴を持ちながら、就職氷河期にあって内定ゼロの真琴が、なぜ初回で偽名を名乗ったのか。その背景には、日向徹という男の深い心の傷が関係していました。
物語の発端において、リッチマンプアウーマン澤木千尋偽名の理由は、NEXT INNOVATIONの会社説明会で日向から「名前すら覚える価値がない」と切り捨てられた際、彼が過去のインタビューで「実の母親・澤木千尋を探している」と語っていた事実を思い出したことにあります。驚異的な記憶力を持つ真琴は、彼の記憶に自分を焼き付け、存在を認めさせたい一心から咄嗟にその名を口にしてしまいました。この嘘が二人の運命を結びつけ、同時に互いを苦しめる葛藤の種となったのです。
やがて嘘が暴かれ、信頼関係の危機を迎えながらも、真琴は日向のパーソナル・ファイルを完成させる原動力となり、日向は彼女の存在によって他者を信じる心を取り戻していきます。リッチマンプアウーマン最終回結末ネタバレを紐解くと、共同創業者である朝比奈恒介の裏切りによって失脚した日向が、新会社「Wonder Wall」を立ち上げ、最終的にNEXT INNOVATIONの経営権を奪還。真琴は自身の夢であった大手製薬会社の研究員としてブラジル(ボストン研究所)へ旅立ちます。旅立ちの直前、羽田空港での劇的な告白とキスによって、二人は遠距離恋愛を選びながら強固に結ばれました。
その後の二人を描いたリッチマンプアウーマンニューヨーク編詳細まとめでは、NYで再会した二人の生活スタイルの違いから生じるすれ違いが克明に描かれます。几帳面な日向と大雑把な真琴のコミカルな同居生活の摩擦を通じて、「自分とは異なる価値観の他者と共に生きることの尊さ」を日向が学び直し、再び離れ離れになりながらもプロポーズに等しい愛の誓いを交わすという、極めて成熟した幕引きが描かれました。